運命の出会い② 〜人生の転機〜

人生の転機

飼い主の元で穏やかに暮らす事が第一優先である鈴木先生は、犬好きであるにも関わらず「オレオに好かれたい」気持ちは微塵も感じさせなかった。

しかし態度が軟化したり正しい行動を取った時に心から誉めてくれる先生の事に“好き”という感情を示すようになった。

家族には反抗的だったオレオは鈴木先生がリードを持つと嬉々としてついて回る。ゲンコツから始まった鈴木先生とオレオの間には笑顔が増え、飼い主も入る隙間が無いほどの信頼関係が築かれていて、嫉妬すると同時に憧れを抱いた。

オレオを飼い始めた頃から「保健所で殺処分される犬・猫を減らしたい」という思いを抱いていて、中でも問題行動が原因で手放すことを余儀なくされた人の気持ちは少しだけ分かる気がする。この行動さえ無くなってくれればもっと可愛いのに・・・

願うばかりでは変わらず、窮地に立たされた我が家を救ってくれた鈴木先生の様な存在が全国各地に居れば救われる命は増えるのではないか?と考えた。

咬み癖を含む問題行動を改善してくれる訓練士は全国にどのくらい居るのか気になり、鈴木先生に尋ねてみる。

「中村先生以外いないよ」

 ・・・? オレオの問題行動に悩まされて解決策を模索していた時、ネット上には著名なドッグトレーナーの名前が多数挙がっていたのに?

咬み癖の矯正を出来る人は絶滅危惧種なのだという事実に衝撃を受けたが、ならば1人でも増やす事が現状の打開に繋がると考えて「私、鈴木先生みたいな訓練士になりたいです!」と鈴木先生に伝えてみた。 少し間が空いて「やめた方がいいよ」と返される

鈴木先生が陽性強化のみの訓練と本気咬みの矯正訓練にギャップを感じたのと同様に、思いつきや甘い考えでは乗り越えられない修行が待ち受けている事を暗に伝えてくれたのだろう。

しかし、オレオや鈴木先生と出会えたのは運命だと感じ「やめた方がいいよ」と玉砕されて以降も鈴木先生のしつけ教室には足繁く通い続けた結果

北栃木愛犬救命訓練所にて研修(入門テスト)を受けさせてもらえることになった。合格後、高校卒業までの2年間は鈴木先生や中村先生の下で研修を受けながら2019年3月に入門。

決意から8年が経った今も、悩める飼い主さん・咬み癖のある犬たちへ救いの手を差し伸べられる人間になりたいという気持ちは一切変わらない。

無知な飼い主から一転、ジョークを挟みながら訓練が出来るまでに至った。

雲の上の存在だと思っていた中村先生を「先生、二重だったんですね」と

いじれる天性の観察眼とユニークさは誰にも負けないと思っている。

不器用だし訓練技術に関するセンスは無いと思うが、諦めたくない思いで停滞や前進を繰り返し4年が経った。

遠い存在だと思わず一歩ずつ我々に近付くために努力してみませんか?

撃沈オレオ

初回レッスンにて鈴木先生に勝負を挑み、あえなく撃沈した直後の写真。初めて負けた割にはへこまなかった(へこんだ顔も見てみたかった)

度を超した時にはゲンコツを喰らうも、正しい行動を取らせて誉めながら訓練を進めていくので犬が取るべき行動を理解しやすく、終盤には拒絶を起こさず冷静さを保てる様になっていた。 飼い主への説明もしながら犬を変えていく様は、傍観していた飼い主の心を射止め、この人に任せるしか無いと確信出来る1時間だった。

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