運命の出会い① 〜はじまり〜

はじまり 

二人家族(当時中2の私・母親)

愛犬 チワワのオレオ♂

犬を飼うのは初めてだった。三年前に亡くなった飼い猫のペットロスを乗り越えて、また動物を飼いたくなりペットショップへ見学に。ペット禁止のアパート住まいであった為、物静かな小型犬を探していたところ1頭の犬に惹かれ家に迎えることを決断

生後3ヶ月程で家に迎える。怖がりで色々な物にビビる、物音にも唸る(←警戒心強)両手に収まる程の小ささで可愛くてたまらず私と母は学校・職場に行くのをためらう(←言い訳)

他人や他犬に慣らそうと知人の犬飼で集まったBBQに参加した時、他人に抱いて貰おうと思った時はじめて他人を咬む(ただのびっくり咬み) 小さい頃からご飯やおもちゃが大好きで何を与えても喜んでくれる為、お小遣いをはたいて買っていた。

予兆

そんな可愛い時期も束の間であった。音に敏感な所は月齢を重ねるにつれて【ただビビる】から【吠えて排除する】様に変化したが、当時は「小型犬は体が小さく怖がりだから吠える」という迷信を盲信していたので傍に寄り添ってなだめたりおやつを与えたが一向に変化なし。

更には家の中で雑音に吠えるだけでなく、散歩中に出会う犬、人、子供、自転車へ吠え散らかす様になり、いわゆる迷惑小型犬オーナーになりかけた。

流石に恥ずかしかったので何とか止めさせようと迂回したり目隠ししたり走り去ったり回避を重ねたが、オレオは他の存在を受け付けず認識した途端に吠える事を繰り返した。

不気味な足音

そして困るのは散歩だけではなくなる。生後半年頃、食べ物やおもちゃ、気に入った物(消しゴムやティッシュ)を保持した時、以前なら取り上げてしまえば執着が消えていたのに自我が芽生え始めたのか取らせまいと唸り“家族を試す”ようになる。だが諦めの悪い(どこかの中学MVP)家族だったので唸られても引かずに取り上げ、一件落着に思えたが唸りで通用しなければ今度は歯を当ててくるようになった。

生後8ヶ月の頃、精巣疾患の予防として去勢手術を提案され犬の為ならと思い手術を受ける。術後の傷を気にする事が多かったので市販の犬のおやつ(豚耳)を与え気を紛らわせようと思ったこの日から悪化生活がスタート。

術前から物への執着が強かったオレオは、術後の痛みにストレスを感じながらもお気に入りの豚耳を取らせまいとピリピリしており、『痛みは大丈夫?』と声を掛けながらオレオに手を伸ばしたその時、初めてしっかりと咬まれた。ショックだったが嫌がる事をした自分が間違ってるのだと思って引き下がってしまった結果、この時から大抵の物は取り上げられなくなる。

消しゴムの程よいサイズと噛み心地が気に入ったようで机の上からよく盗まれた

誤飲させない為に無理矢理取り上げていたのだが、この“無理矢理”が物に対する執着心を煽ってしまい再度取ろうとすると

噛みしめる→唸る→歯を剥く→近付かせまいと唸る→それでも人が諦めない時には歯を当てる様になった。

☆幼少期から飲み込めないサイズのおもちゃやおやつを「出せ」の指示で明け渡す経験を積ませる事が先決。出した後に誉める・おやつや出した物を再度与える等して人の意思で物への執着を断ち切る練習が必須な時期である、こんな写真を撮っている場合ではない。

覚醒

オレオも有効打であると確信したのだろう。この日から少し苦手な事も咬んで排除する様になり1ヶ月前に出来ていた歯磨き・服の脱着・寝てる時に触る・ハウスの中で触る・なども出来なくなっていく。

何か良い方法は無いのかと本やネットを読み漁り

①咬まれたら奥まで突っ込む ②マズルを掴んで叱る ③おやつで釣る 

を色々試しながら必死に毎日戦うが、生後10ヶ月で流血する程咬まれる。

飼い主が躾を出来なくてはダメだと思って続けてきたが、悪化の一途を辿るだけで何一つ解決しなかったので、母が「間違った方法を続けていては良くはならない、プロを頼ろう」と決心し中村先生の弟子である鈴木先生に相談する事に。 相談した頃は生後11ヶ月になっていたが咬む頻度や咬みの程度が低かった為(それでも困ってた)咬み犬予備軍として訓練の依頼を受けて下さった。

不協和音

咬み犬予備軍とはいえオレオは「天下の大将軍」とのぼせ上っていたので初対面で鈴木先生に勝負を挑んだもののあえなく撃沈。その撃沈から約半年間、鈴木先生には犬にも人にも厳しく指導して貰い、多くの課題をクリアできた事を確認して仮卒業へ移ったが一筋縄ではいかずトラブル発生。

仮卒業後しばらくは上手く制御できていた“吠え”がだんだん制御が効かなくなってきた。『ここまでのあなたの頑張りを無に帰す訳にはいかないわ』と指示を守らせる事を徹底して少し良くなってきた。諦めの悪い家族に迎えられたのが運の尽き、と思いきや・・・

母と当時中3の私はお互いに反抗期(母は落ち着け)。親子喧嘩は日常茶飯事であった。すると母には反抗的な態度を取る私がオレオに指示を出し、時には叱る様子が気に入らなかったようで、訓練の成果維持の為に徹底して練習をしていた私の傍で小言を吐くようになった。惑わされずに継続して練習をしていたが、そんな私に反する様に母は愛犬に甘く接した。

犬はどちらに付いていけば良いのか迷った末、甘い蜜を吸う事を選んだ。私が指示を徹底しようものなら母に逃げるし、母もオレオを擁護する。私も母に反する様にオレオの些細な違反に目くじらを立てるようになり私とオレオの関係は悪化、家に居ても寄り付かなくなった。

すかさず鈴木先生に相談をし、関係が悪化した原因と改善方法を教わった。指示を徹底することは間違っていないのだが、罰と誉めのバランスが崩れた事が原因と指摘され誉める状況をより多く作り出す必要があった。オレオが確実に出来る科目を繰り返す事で誉める割合を増やし、関係は修復に向かいはじめた。 迷わず先生に相談した事で、その後も訓練の成果を維持でき現在は私にべったり、誰の指示でも聞ける子に育ってくれた。

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